晴れた土曜日、上向いて

理由ばっかり尋ねる世界でワケなど一つも無く。

想像以上の現実は、今ここにあった

大切なのは、お金でも時間でも愛情でもない。これまでの記憶だ。

そう言って、公演の最後に命がけで「フィクション」を歌ってくれたのは、sumikaの片岡健太さん。

想像以上の現実をありがとう。そう言って私たちに音楽を伝えてくれるsumika日本武道館というバンドマンの最高に特別な場所で、あんなに心と心の距離が近いライブを他に知らない。

「あなたの、目線と、表情が、この音楽をつくる。」私たちの、手拍子と声以外の要素が、sumikaの音楽をつくることに驚いた。片岡さんの中で、私たちの目線と表情が、音楽に変えられる。そんな幸せなことがあっていいのか、ドキドキしながらも、私の口角はあがる。私の目線と表情がsumikaの音楽になるならせめて最高の笑顔でいたい。

 

どの曲も、どの瞬間も最高だった。

単独の武道館ってこんなに幸せなんだって、みんなに言いふらしたい。想像以上の現実はここにあったんだ。

みんなのsumikaの瞬間と、私のsumikaの瞬間があって、1万と4人で音楽をつくる瞬間と、まるで私のためだけに歌ってくれてるみたいな瞬間がある。

大好きだ、大好きだって、大声をだして歌った時も、人の歌に自分重ねた時も、片岡さんはまるで私に歌ってくれてるみたいだった。

でもそれは、決して、ライブ中に「みんな」と言わない片岡さんだからこその力なんだと、単独ライブで何度も思わされる。

「僕」と「あなた」。「僕」と「みんな」じゃない。絶対に対等な立場でいてくれる。ステージもフロアも関係ない。一人称と二人称でいてくれる。

客席を向きながら、「こっちがステージなんじゃないかと思った」と言う片岡さん。私たちは、音楽を作り続けると決意した片岡さんが誰よりも輝くステージが見たいんだよ。ステージに立ってくれてありがとうと、私は思うのに、片岡さんは私たちが主役だと言ってくれる。

そんな相思相愛が、4人と1万人分の組み合わせで武道館に充満する。2018年7月1日、世界中のどこを探してもこんなにお互いがお互いのことを想い合う空間は無い。

公演前の武道館で4年ぶりに再会した友人同士のことを見つけた片岡さんは、sumikaがこれからも誰かの待ち合わせ場所みたいな存在でありたいと言った。sumikaの音楽を聴くと、一緒に騒いだ友達のことを思い出す。その時好きだった人のことを思い出す。人の歌に重ねた自分のことを思い出す。sumikaはもう、すでに私の居場所だった。心の住処だった。

この日一緒にsumikaを見つめた友達と、またsumikaのライブに来たいと思った。

 

 

4人が最高の顔して音楽を続けてくれる。音楽を続ける理由がまた見つかったと、私たちの顔を見ながら言ってくれる片岡さんのその人生と決意に、私たちはまた前を向かされる。

また生きて会おうと、最後に言ってステージを去る片岡さん。

もう少し頑張って、また次に最高の顔して会いたいな。今度はもっと、sumikaの音楽を、全身で浴びたい。もっと、sumikaと私の記憶を増やして、私の力にしたい。sumikaの力になりたい。私が、ここで音楽を聴くだけでsumikaが音楽を続ける理由になるなら、死ぬまで全身でsumikaを感じていたい。

 

また生きて会ってください。その、sumikaを背負った背中を、その決意の重さを、一瞬でも、少しくらい一緒に持ってあげたい。感謝を、愛情を、伝えさせてほしい。毎日を支えてくれるsumikaに、私の気持ちを伝えられるのはその一瞬しかないからさ。雨が降ろうと槍が降ろうと、また会いに行くよ。